効果的な勉強法 ~より良い小論文を書くために~
今年も大学受験において、AOや推薦入試の季節となりました。その試験科目として「小論文」を課す大学が多くあります。
すでに対策を始めている人、これからようやく本格的に対策に取りかかるという人、さまざまだと思います。書き方に困っていないのであればそれこそ問題はありませんが、うまく書けない、あるいはこの時期でも書き方そのものがよく分からないという人も少なからずいるでしょう。その他の受験科目と同様に、「これをこうすればすぐにできる(書ける)という類のものではありません」が、本番の試験が迫っている今、限られた時間で練習を重ねるにあたり、改めて考えてみてほしいことがあります。思考力・表現力を鍛える前提の部分に何か問題があるのかもしれません。今回は、「文章読解型」に絞って書いてみたいと思います。
●文章の内容を正しく「理解」できていますか。
●「問い」で聞かれている内容を正しく「理解」できていますか。
●「問い」で聞かれている内容に「正しく答える」ことができていますか。
できているのであれば、あとは書き出すだけです。もちろん、構成を考えながらじっくりと論理的な組み立てをしていきます。「なんだ、そんなことか。それぐらいできている。でもうまく書けないだけなのだ。」という方、本当にそうでしょうか。これまで多くの生徒の皆さんの指導に関わってきましたが、うまく書けないという方々は、これらのことがきちんとできていないことが大半なのです。
上記の3つの項目は、すなわち、現代文の読解能力です。とくに評論文の場合は、難しい内容・表現が出てくることは稀ではありません。そういった内容を、自分の言葉で分かりやすく言いかえることができればいいのですが、たとえば授業のときに、なんとなく分かっているという雰囲気の生徒に突っ込んで質問してみると、うまく答えられないことが多いのです。つまり「理解」に至っていない。これでは「問い」で聞かれていることも理解できないでしょうし、当然のことながら正しく答えることもできないでしょう。「要約」「論述」の2問構成の場合、まず「要約」がうまくいきません。限られた字数の中に、文章の内容を正しく理解したという結果が反映されず、果ては書いている当の生徒本人も何を書いているのか分からない、という現象になるのです。これでは合格点にはなりません。
英語の読解の場合もそうです。たとえば下線部和訳の問題や説明の問題。これもまた授業での話ですが、単語の意味・品詞も、文法構造もとりあえず分かっているようなのですが、書いてくれた和訳ないし説明の表現・内容が、なんだかよく分からない謎の日本語。書いてくれた当の生徒本人も何を書いているのか分からないという現象。そうです。語句の意味や文法が分かっていても、内容の「理解」というところを蔑ろにしているのです。現代文と同様に、よく分からない表現や内容が出てきても、自分の言葉で分かりやすく平易な言葉で言いかえることを実践すれば、正しい理解につながり、そして理解ができているからこそスマートな和訳や説明ができるというものです。
ここで書いたことは、ほんの一部分の事柄に過ぎません。自分には当てはまらないという方も当然いらっしゃるでしょう。論述の構成や内容、あるいは表記の仕方に問題があるだけという方もいらっしゃるでしょう。ただ、心当たりのある方は、この「理解」という部分を充実させることで、論理構成の内容も充実したものになり、自分の書く小論文がさらに良いものになって、それが採点官に伝わるかもしれません。皆さんの努力が、合格という結果につながることを願っています。
【英智学館一関駅前校 教室責任者 佐藤和之】